
INTERVIEW

子育て編
INTERVIEW 02
三つ子の出産。子育てはご近所の皆さんに支えられた。
【トマト農家】 稲森章志さん・美智子さん
自然豊かな暮らしと温かいご近所付き合いを求めて、2007年に小値賀島に移住し、新規就農をしたご夫婦はIターン者。現在はトマト農家としてビニールハウスでミニトマトの栽培している。
日々、地域の方に支えられ、小学5年生になる三つ子のお子さんたちの子育てに奮闘しながら、ミニトマトの栽培に汗を流している稲森さんご夫婦。章志さんは元々は関西で会社員をしていましたが、豊かな自然、地域の人たちと人付き合いができる場所で農業をやりたいという思いで、2007年に小値賀島に移住。夫婦で農業研修制度を利用し、試行錯誤をしながら農業の基礎知識やノウハウを学び、2年間の研修の後、新規就農者として独立。現在はミニトマト栽培に特化した農業を行っているお二人に、農業を始めるまでの経緯や農業に対する想い、島での子育て、島の魅力について語っていただきました。

ー島に移住後、三つ子を出産した時のことを教えてもらえますか?
三つ子ということがわかった時点で、計3ヵ月入院をしました。3人で5kg位で本当に未熟児だったので、そこから1ヵ月近く大村の医療センターのNICUでずっと保育器に入ってて、2kgになるぐらいまで入院をしてました。私は小値賀に帰って、ほぼ毎週通っていました。

ー退院して島に帰ってくるときはどんな様子でしたか?
(私達夫婦)2人しかいないので(子どもを)3人を連れて帰ることができなかったから、近所の方々が「誰か一緒に迎えに行こう!」って。あと「荷物持ちもいるよね!」とか「じゃあ、お願いします。」といったら「じゃあ、私行くから」って、結局2人小値賀の方から一緒に(病院に)来ていただきました。
病院で子供たちを抱っこして、もう1人の方が抱っこして、もう1人が荷物持ちということで、合計4人で、子どもを迎えに行きました。
船に乗って小値賀港に帰ってきたら、島の方々が待っててくれてたんですよ、ターミナルで。みんなで家に帰って、電気も点けててもらって、家でみんなで「あ~よかったね。よかったね~」っていう感じだったので、すごく家族が出迎えてくれているようなそんな感じを受けました。
それからは1ヵ月間程は、お昼のミルクの時間になったら、率先して皆さん来ていただけるんですよ。もうローテーションを組んで下さってたんですね。自分達からはなかなか「お願いします」っていうことが苦手なので、そういうのを察してくれて、いろいろやってくださるのがすごく助かってありがたかったです。

ー島での子育てで不安なことは何ですか?
一番下の子が滑り台から落っこちて腕を骨折したんですけど、その時は漁船をチャーターしていただいて、佐世保の病院に行って、もう即緊急手術をして、今はちゃんと不自由なくすることができたんですけど。
たまたま船が出ましたけど、出ない時とかもあるので、もうなるだけ怪我はしないように、病気もならないようにと思うのが毎日ですね。
あとは小値賀には小学校・中学校・高校とあるんですけど、小学校・中学校は町立で、人数が各クラス10人から20人位なんですけど、今度は高校が県立ということで、できたら高校までは小値賀で子ども達を過ごさせてもらえるように存続をしてもらいたいなと思っています。
ー子育て面からみた小値賀のいいところはどんなところですか?
まず子ども達の数が少ないので、子ども達のことをすごく見ていただけるのがいいなと思います。周りの方が、子ども達に声をかけてくださることが多くて、危なくないですね、まったく。子ども達も安心して学校に行っているので、子どもだけで歩いててもいい環境だなと思います。
※さっきから(章志さんが)無言ですね。
子育てのことはもう(奥さんに)任せてるので。「三つ子」言うたらもう小値賀中みんな知ってるんで、もう安心して任せてますね。

ー移住して15年経って思うことはありますか?
気持ち的には「いつまで自分達は移住者なのかな」と思うと、最後までそうなんですけど、でも子ども達はここで小値賀生まれ小値賀育ちなので、いいなぁと思うんですよね。
自分達はマンモス校で、先生に名前を覚えてもらってるかどうかもわからないような、大人数の中の1人だったんです。それがここは一人ひとりなんですよね。だからこそ個性が発揮できるんだなって思うので。
ここは物は不便だけど人間的に温かいところがいっぱいあって、佐世保から帰ってきた船で「あぁやっと帰れる~」とかいう気持ちになるので、「もう今は都会には住めないな」というのがすごくあるので、そういうのがあって、このハウスがダメになったときも(※2020年の大型台風により、ハウスが倒壊)、もう全然(故郷に)帰ることは一切頭になかったですね。

ー移住を考えている人へメッセージをお願いします。
都会で人間関係に疲れたなぁって思って、田舎に行きたいって思われても、でも実際は逆なんですよね。田舎にいるからこそ、人間と人間との間の距離っていうのがすごく近くなるので、自分をさらけ出して、ちゃんとそこの生活環境とかそういうものを取り入れていく。本当にそこに行きたいのかっていうのをしっかりと考えてから来たほうがいいと思います。
生きてたら、選択することがあるじゃないですか。こっちの道に行くかあっちの道に行くか、やるかやらないかとか、人それぞれ違うと思うんですけど、自分はおもしろい方へ、自分が楽しめる方へというふうに選んで来たので、そしたら失敗しても後悔はしないという感じなので。それで小値賀に、絶対こっちに来たら自分は楽しめるだろうなと思って来たので。そういう選択をしていけば、人生楽しいと思います。